レイドは黒髪で肌は褐色。

この国の人間に黒髪はいない。

さらにみな白人である。

レイドがこの国の者でないのは、リィナや大臣、国民全員が知っていることなのだ。

「なぜ、王女様は異国のレイド様を側近騎士に任命されたのでしょうか?」

「8年前に、リィナ王女が祭壇の間でレイドを発見されたのが、始まりだったのだ。」

「あ……そうでしたね。レイド様は8年前に……」

外の夕焼け空は綺麗だった。



レイドはまた外の木に登って夕焼け空を、ただただ見つめていた。

「なぁ…。リィナ。」

レイドはリィナより一つ上の19歳。

昔から呼び捨てで王女の名を呼んでいる。

「なに?」

部屋の窓からリィナが顔を出す。

リィナの金髪が光でより一層輝いた。

「オレ…ルーゼン・ウルク王国(ここ)に居てもいいんだよな?」

「またそんなこと言って。いい?この国を統一するのは私。だから―」

「私の命令は絶対、だろ?」

リィナは微笑んだ。

「わかってるじゃない。」

レイドも少しだけ頬を緩ませた。

「時々思うんだ。オレって何なのかって。」

「レイド…。」