戦争が始まって6日目の国境は、昨日までとは一変していた。

ロッツォを中心に、騎士たちと国民の数人が、馬に乗ったまま横一列に並んでいた。

国民たちは武器を手にしている。

ロッツォが口にしたのは“リヴェン・プール王国(故郷)の破滅”。

一体何が起こっているのか、ルーゼンの者にはわからなかった。

「失敬、正確には“王権”を潰します。」

「お前たちに何があったんだ!?」

レイドは思わず聞いてしまった。

「私たちはもう、あの王子の言いなりにはならない。王子を国外に追い出し、共和国を創る!」

「ロッツォ様バンザーイ!!!」

騎士も国民も歓喜の声を上げた。

「そ、そんな……!王子を殺すの!?」

「最悪の場合は、そうなりますね。」

ロッツォはいたって冷静だった。

彼らには、王子を殺すことにためらいはない。

「国の象徴を破壊された怒りは、収まりませんが、それに増して、王子への怒りが収まらない。矛先を向けるのは、ルーゼンではなく、リヴェンだ。象徴は、また直せばいい。」

「王子が一体何を……?」

「この戦争は国のためでなく、王子としての品格と権力のためだと、おっしゃられたのですよ。」