リィナは頭が真っ白になった。

考えられない。

まさか……ルーゼンの者が……!!

「リィナ、その女神像って……」

「リヴェン・プール王国の象徴よ。いわゆる、リヴェンの守り神。あの像を壊すことは……。」

リィナの目に涙が浮かんでいた。

「国への宣戦を示す……!!」

一筋の涙が頬を伝った。



「貴様……これがどういうことか解っているのか?」

フィルは男に問い詰める。

「さぁ?」

「俺たち、リヴェンの人間を批判したのと同じなんだぞ?」

「そうなのか……。王女は解ってて指示したのかなぁ。」

俺はまた笑った。

「許せねぇ……くたばりやがれ!!」

ブンッッ!!

フィルは腰に差した剣をひと振りした。

振った時に起こった風が、炎に変わり、男に襲いかかる。

ブオォォッッ!!

「雑魚が。」

男は手のひらをかざし、炎を手に触ることなく、振り払った。

「な!」

「なぜそんなに怒る?リヴェンの象徴を、壊された怒りか?リヴェンの王子として、国の怒りをぶつけてるのか?」

男はフィルに問うた。