ドンッッ!!

レイドは机を叩いた。

「なんなんだ、アイツ。頭に来るな。」

「落ち着いて。あの方はどうしようもないの。」

リィナはフィルを扱い慣れてる。

「私はあんな権力を振りかざして、人を見下すようなこと、絶対にしたくないし、あんな方にありたくないわ。」



フィル王子一行は馬を走らせ、リヴェンを目指していた。

「王子、何がなんでもあのような発言は……。」

隣で走るロッツォが注意を促す。

「うっせぇ、お前は黙ってろ。」

また睨んだ。

彼はもうその目に慣れた。

「おい、あれ……。」

フィルが馬を停めた。

ロッツォたちも停まり、フィルの視線に目をやる。

その先には、国境に建てられたリヴェンの女神像だった。

灰色の岩石で作られた女神像は、いつもリヴェンの城を眺め、優しく微笑んでいる。

いつもと違うのは、彼女が手にしている水晶玉が割れていた。

「な、なんてことだ!?水晶玉が……!!」

フィルたちは女神像の元へ駆け寄った。

像の足元に、金髪の男が立っていた。

「貴様……!貴様がやったのか!?」

「あぁ、王女の命令でな。」