そんな彼を、ロッツォはじめ騎士や国民は情けなく思っていた。

ムーシュはそんな息子を何とも思わず、むしろ父に似たんだと、皆は自分に言い聞かせる。

「……ルーゼンか?」

フィルは、ルーゼン・ウルク王国の名を口にした。

「ロッツォ、ルーゼンに行くぞ。」

「え?ルーゼン・ウルク王国ですか?」

フィルの案にロッツォは戸惑った。

「前から親父は、ルーゼンを敵対視していたからよぉ。ルーゼンに行って暴れてるかもな。」

支度しろ、と言い残し、フィルは部屋に戻った。

ロッツォは銀の髪を耳に掛け、ため息を吐いた。

「そのままルーゼンに居たいものだ。」



「文だ。」

リィナとレイドが、朝御飯を食べていた。

スープをすすりながら、彼は呟いた。

「…文?」

「あぁ、“転送術”だな。大丈夫、悪いやつじゃない。」

レイドはそう言って、席を立ち、2、3歩下がった。

「……受けとれ。」

レイドの目が赤くなると同時に、彼の掲げた手に、巻かれた手紙が出現した。

「リィナ宛だ。」

「誰から?」

「隣の国からだ。」

リィナの顔が歪んだ。