「そう。では王座の間で話をしましょう。」

「では、先に行っております。」

一礼をして大臣は部屋を去った。

窓の傍に生える大樹に向かって、リィナは言葉を掛けた。

「会議よ。レイドも来なさい。」

「ん〜。」

唸りような返事がきた。


王座の間には大臣をはじめ、国中の騎士や総司令騎士、メイドたちが集まり、頭を下げて待っていた。

リィナはその間を通り、赤い大きな椅子、先代から使われている通称・国王の椅子に腰をかけた。

「頭を上げなさい。」

「はっ。」

全員が頭を上げる。

たったったっ…

遅れて走ってくる足音がする。

「また遅刻よ、レイド。」

「悪いな。木から落ちそうになって。」

先程、木から返事をした声の主である。

名は、レイド・エルス。

「さて…。レイドが来て揃いましたので、話を進めましょう。フゥリ、書記をして。」

「かしこまりました。」

リィナの座る椅子の傍らにある小さな机に、フゥリというメイドがむかい、ペンをとる。

「来週に行われる騎士試験について、役割を決める。総司令騎士のシューには審査副委員長を。ヴァィ大臣と中等騎士・スーハにダイは審査員を。それから……」