彼女はふらつきながら、手の甲で口の回りについた血を拭った。

「仲間の仇、討たしてもらう。」

ジェネルの遺体を、地面に寝かした。

シャッ……

ガゼットは腰に差した、2本の剣を抜いた。

「殺るって……?」

「あぁ、俺の愛刀が血を欲してるもんで。」

ガゼットは剣を十字に構えた。

同時に魔法陣が足元に描かれた。

「ったく……バカな男たちだわ……。」

ビリッ……

クゥリはまた1枚ページを千切った。

「憑け、不死鳥の魂よ!!」

パァンッッ!!!!



シューは城下町を走っていた。

自慢の黄金の梟を召喚し、町の火を消していった。

「姫様!リィナ姫様!!」

シューはひたすらリィナを探し回る。

城下町の住人を避難させながら、彼は走った。

行く先に、騎士の死体を目にしながらも、「すまん……よく頑張った。」とだけ言って走り去った。

そして、シューは信じられない光景を目の当たりにする。

「ク……クゥ……リ……?」

シューは震えた。

目の前に立っている、普段とは変わり果てた彼女の姿に怯えた。