「がっ……!」

ローズは腹を押さえて、オルディンの隣にまで下がった。

「たかが騎士の1人が死んだだけで、熱くなるだなんて……。」

オルディンは長い黒髪を揺らした。

刺された騎士を、国王は抱き抱えて2人を睨み付けた。

「たかが……だと?私の家族を傷つけた罪は重いぞ!!」

国王の怒りは収まらない。

騎士の血で、服が赤く染まる。

「ムカつくんだよ!!お前らみたいな奴等を見てると!!」

ローズは叫んだ。

「何が家族だ……幸せな面をして、俺たちから何もかもを奪う“聖人”風情が!!」

彼もまた、怒りを沈められずにいる。

ウォンッ!

ローズは魔法陣を発動させた。

「私も同感だ……。」

ウォンッ!

オルディンも魔法陣を発動させ、剣を高く掲げた。

「国王!お下がり下さい!!」

騎士たちが一斉に国王の身を案じ、守りに入る。

しかし、国王は決して後ろに下がろうとしなかった。

「私は怒りを押さえられそうにない。」

シャッ……!

腰に差した剣を国王は勢いよく抜いた。

「これ以上、好きにはさせんぞ!!」