「騎士は殺してもいいと言われているが、メイドもよしなのか?」

ジェネルは自問自答した。

「私はメイドである前に魔法騎士よ。」

にっとクゥリは笑った。

「お前は相当、強いみたいだな。」

「そら、生まれ故郷を滅した魔法騎士ですから。」

クゥリはエプロンのポケットから小さな、かつ分厚い本を取り出した。

パラッ……

彼女はページをめくる。

「なんだ?その本は?」

「魔法聖書よ。私の魔法の源よ。」

ビリッ!!

ページを1枚破き、それを右手の中指と人差し指に挟んだ。

そして掲げた。

パアアアア……

「蘇れ、封印されし魔獣の魂よ!!」

ビュンッッッ!!!



同時刻、城壁の側に2つの人影があった。

「レイド、こっちこっち!」

ロイドがレイドを手招きした。

レイドはおどおどしながら、招かれるままにロイドの隣に座った。

「やめようって!まだ命令されてないよ〜!」

「は?何怖じ気づいてるんだよ。」

「だって……!」

レイドはどうしてもこの襲撃には参加したくない。

リィナがこの国の姫ならば、オルディンは必ず殺してしまう。

それを恐れたためだ。