「なっ……!?」

国王は迷いなく笑顔で言った。

「歴史書物である程度は君らの人種を知ったつもりだ。ヴァスペリア民、それが本来の呼び名であろう。」

「そうだ。“異人”だなんて、呼ばれたくもない異名。だが、もう慣れてしまえば何とも思わん。」

オルディンは剣を降ろした。

彼の隣でローズは何か呟いている。

「……ふざけるな……ふざけるな……」

明らかにローズの様子がおかしい。

「それで?私たちの何を知った?」

「君達の先祖は平和に生きていた。だが、翼を持つ人間の血が絶え、いつの間にかヴァスペリア民だけが翼を持っていた。」

「よく調べたな。」

「あぁ。あの魔法陣のを調べるときに自然とたどり着いたさ。あれには先祖の魂が眠っているのか?」

「!?」

オルディンは驚き目を開かせた。

うつむいていたローズも顔を上げた。

「何故それのことを知っている?」

魔法陣にヴォルフィットの魂が眠っていることを知るのは、彼らだけのはずである。

「いや、私の推測を言っただけだがそのようだな。」

「単なる歴史好きじゃなさそうだな。」