それだけを言い残し、旅立った。

国が涙を流し、お母様の死を見届けた。



「結局、原因不明のままだったけどね。」

「……そうか。寂しくないのか?」

「全然寂しくなんかないよ。」

リィナは満面の笑みで答えた。

「お母様が死んだ直後は、寂しくて悲しくて辛かった。でも、私にはお父様もいたし、国のみんなが居たから。」

「…………そうか。」

「それに、今はレイドも居るから私は大丈夫よ。」

レイドは、表には出さなかったが、その言葉がとても嬉しかった。

「8年前の異人の襲撃で、父さんは死んだんだよな?」

「えぇ…。」

「殺した異人ってい……」

レイドは言いかけて止めた。

これは聞かない、リィナが本当のことを、全てを話してくれるのを、信じて待つんだ。

それが、彼を止めた要因だ。

「え?なぁに…?」

リィナは言葉の続きが気になった。

「なんでもない。父さんってどんな人だった?」

レイドは話を反らした。

「そうね……」



私の父、国王・ハインドも、国を愛し、国から愛された王様だった。