フゥリは父子家庭で育った。

城に遣えていた父が亡くなった後、フゥリはルーゼンの女王に引き取られ、メイドとして遣えている。

「そうなんだ。」

「ただ、11年前に殺されたようです。」

「誰に……?」

「詳しくは……。さ、できましたよ。」

フゥリは綺麗にリィナの髪をくくりあげた。

「ありがとう。」

「有り難きお言葉です。」

2人は食堂へ出掛けた。



昼が過ぎた頃、レイドは1人でひっそりと小川へ来ていた。

“明日もまた来てね”

約束を果たすために。

「今日は早く帰らないとオルディンに怒られるんだけどな。」

レイドは翼をしまい、ゆっくりと水に足を浸けた。

タッタッタッ……

誰かが走ってくる。

レイドは草を蹴る音を聞き、草むらに身を潜めた。

“もし“聖人”に襲われたらどうするんだ!?”

バリックの言葉が咄嗟に浮かんだからである。

「レイドー!どこ?」

駆けて来たのはリィナだった。

輝く金髪を揺らして入ってきた。

「リィナ。」

レイドはひと安心して、草むらから身を出した。

「レイド!来てくれたんだ!」