リィナは父に連れられて、貿易の交渉に来ていた。

「勝手に出られて、何かあったらどうするんです!?」

「何にもないもん。」

「姫様、この街の近くに“異人”がうろついていると聞いております。だから……」

「“異人”ってなぁに?」

リィナは目をビー玉のように丸くした。

「前にも言ったでしょう。“異人”とは、褐色の肌に、黒い髪、翼の生えた人間で、人を襲うと……」

「シューは見たことあるの?」

「実際には……」

「ふぅん。絶対に襲うの?」

「それは何とも……」

リィナは何も返さず宿に戻った。

真っ先に父の部屋を訪れた。

「おぉリィナ。怪我はしてないか?」

王は笑った。

「うん!小川でメダカを見ていたの。」

「そうか。ただ、あまり遠くには行っちゃだめだぞ?」

「はぁい。」

リィナは少しだけムッとした。

「お前を縛るのは好きではないが、あまり心配をかけるんじゃないぞ。」

「わかったぁ。」

リィナは父の隣に座った。

「パパも一緒にメダカが見たいなぁ。」

「ダメ!絶対にダメ!」

リィナは拒絶した。

「どうしてだ?」