「え……あ、メダカ……。」

“異人”と呼ばれ、見放された人種の子孫、レイド。

「そうなんだ!すごぉい!」」

ヴァスペリア民の魔法陣を源とする王国の姫、リィナ。

「見せて見せて!」

これが2人の出逢いだった。

決して交わる事は許されない人種。

運命の歯車が今、動き出した。

「かわいいっ!」

「そ、そうかな?」

レイドはそっとメダカを小川へ帰した。

「君は……」

「リィナ。あなたは?」

「レイド……。」

リィナは大きな瞳を輝かせていた。

「リィナは……オレを怖がらないの?」

「どうして?何も怖くなんてないよ。」

「みんないつも言ってる。オレたちは他の人間とは違うって。」

レイドは自分の生い立ちや、あの“聖人”の奇襲、そして封印されたヴォルフィットの魔法陣、全て聞かされていた。

「難しいことわからないよ。ねぇ、いつもここに来るの?」

「今日たまたま来ただけ。」

「明日も来てほしいな。」

リィナは満面の笑みを見せた。

「こ……来れたら来るよ。」

「約束。」

リィナは指切りを求めた。

「何?それ。」

「小指出して。」