「形勢逆転だ!叩け!!」
頭数が同じくらいになり、ラックたちに勝利の希望が見えた。
一斉に魔法陣を発動させる。
「リーダー!」
「やむを得ないな。アレを発動させろ。」
集団の中心に立つ男が何かを掲げた。
銀色の水晶のようなものだった。
「発!!」
カッ!!
水晶は白い光を放った。
「な、なんだ!?」
光はやがて薄紫のような色に変わり、光り続ける。
ラックは気を取り直した。
「喰らえ!!ヤマタノオロチ!!」
しーん……
魔法陣が発動しない。
「な……!?」
「魔法が……!!」
「ふ……ふはははははは!!!!」
“聖人”のリーダーが高笑いする。
「足掻け!足掻け!貴様等の魔力は綺麗さっぱり盗ってやったわ!!」
「なんだって!?」
確かに魔力が空っぽの感覚がある。
しかし、いつ空っぽに……?
まさか…………!
「その水晶に集めたか?」
「頭の回転が早いな。そうだ、その通りだ。」
水晶は魔力を吸い盗る魔法道具(マジックアイテム)だった。
魔力を奪われては防御は出来ない。
腰に差した剣と翼だけが武器となる。