アイラが双子をあやし、ルーツァが食事を用意している間に、ラックとエリックは酒を飲みながら話をしていた。

「“聖人”?」

ラックは呟いた。

「あぁ。最近、この里の周りをうろついてる。」

エリックは血相を変えて言った。

「見たのか?」

「俺だけでなくディンや他の奴等も見てる。」

「…………。」

「手には拳銃やら剣やら武器を持っていた。」

ラックは眉間にシワを寄せた。

「オレたちが狙いか?」

「さぁな。ただ気を付けとけ。いつ何があるかわからねぇ。」

「いつになっても命を狙われなきゃいけねぇのは運命(さだめ)だな。」

ぐびっ

ラックは多めに酒を一口飲んだ。

「さぁ出来たよ!私の特製シチューさ!」

ドンッ

ルーツァはシチューが入った大きな鍋を、机に勢いよく置いた。

「まぁいい匂い!」

アイラは嬉しそうに鍋を覗いた。

「さぁいっぱい食べて!」

ルーツァは満面の笑みを見せた。

「久しぶりのシチューだな。」

「あなたを落とした一番料理だからね。毎日は作らないわよ!」

「なんだよそれ。」

エリックも笑った。