そして100年前、ルーゼンの王は、ヴォルフィットが封印された魔法陣を見つけた。

ヴァペスリア民は反撃し、魔法陣を守ろうとしたが、敵わず、奪われた。

これで本当にヴァペスリア民は消えた。

だが、彼らはひっそり暮らしていた。

“聖人”の女と恋をし、結婚して子を成した。

“聖人”でも理解者はいる。

いつか先祖のように共存できる世の中になるのではないか。

中にはそう考える者もいた。

そして、時は流れ、共存の意志を継ぐ子孫が生まれてゆく。

だが、19年前。

レイドとロイドが産まれた年、悲劇は起きた。

“聖人”の奇襲。

大人たちは殺され、子どもたちが生き残った。

その時、子どもたちは初めて“聖人”を見た。

彼らは敵だ……。

それが“聖人”に対しての意識であった。