それが、今は“異人”と呼ばれるヴァペスリア民だ。

彼らは翼を持たない人間との共存を選んだ。

だが、翼を持たない人間の子孫は、次第に彼らを気味悪がった。

ヴァペスリア民はいつしか、異なる人間と認識され“異人”と呼ばれるようになった。

翼を持つ人間の子孫は、翼を持たない人間こそが本来の人間の姿と悟り、彼らを“聖人”と呼ぶようになる。

そして150年前、1人のヴァペスリア民が立ち上がった。

彼は共存を訴え、戦争を起こし、彼は上に立った。

それが甦った先祖、ヴォルフィットだ。

彼の魔力は人類最強と恐れられ、戦争に勝つかと思われた。

しかし、彼以外のヴァペスリア民は“聖人”に負け、命を落としていった。

それが血が絶えた原因だった。

そしてヴォルフィットは自ら魂を封印した。

「子孫が同じように見放され続ける世であれば、我を呼び覚ませ。その時、きっと力になろう。」

そう言い残し、彼の魂は魔力となり魔法陣に眠った。

ヴァペスリア民の子孫は次第に力をなくし、いつしか対立さえも怖がり、世から姿を消した。