その宿には、ヴァィやシューといった位の高い騎士や、王国騎士が数人寝泊まりしていた。

他のメイドや国民は空き家に身を移している。

「リィナ様!レイド様!よくぞご無事で!」

フゥリが会議室で出迎えてくれた。

「心配かけてごめんね。でも大丈夫だから。」

リィナはニコッと笑った。

会議室にはレイドとリィナ、シュー、ダイ、スーハ、ヴァィ、フゥリが集まり、皆が椅子に腰かけた。

「レイド、アナタが思い出したこと、全部教えて?」

「あぁ。みんなに話しておかなければならないな。」

フゥリがグラスにリンゴジュースを注ぎ、一人一人の前に静かにおいた。

「まず……オレ達“異人”、ヴァペスリア民についてだな……。」



この世界が創られた時、そこには翼を持った人間が暮らしていた。

白の翼と黒の翼があり、白は少女、黒は青年。

互いに協力し、共存していた。

しかし、この世界にはもうひとつの人間が誕生した。

翼を持たない人間。

次第に彼らの存在が目立ち、翼を持つ人間は数が減った。

いつしか、白の翼を持つ少女はいなくなり、黒の翼だけが残った。