「ただいま。」

レイドは白い歯を見せた。

「“異人”たちは……?」

シューは尋ねた。

「祭壇の間の魔法陣が解放されたわ。彼らは巨大な魔力を手に入れ、城を崩壊し里へ帰ったの。」

「そんな……!」

シューは驚きを隠せない。

「魔法陣に秘められていたのは、巨大な魔力を持った先祖の魂だった。その魂はオルディンという男の身体に入ってしまったんだ。」

レイドは歯を食い縛る。

「オレ達の守り神として讃えられた先祖、ヴォルフィットは人類最強の魔術師。そいつが甦ってしまった……。」

「レイド様……?」

「全部思い出したんだ。失った記憶も歴史も全て……。」

「とりあえず今は、港町に戻りましょう。詳しくは後にして。」

レイドはリィナを抱え、空へ飛んだ。

シューとフィルは来た道を戻った。



「王女様!」

「リィナ様!レイド様!」

「ただいま、みんな。」

港町に避難した騎士や国民が2人を出迎えた。

みんなが涙を流し、2人の帰還を喜んだ。

4人はすぐさま、この町の宿へ向かった。

「おぉ……リィナ様、レイド様!」

ヴァィも涙を浮かべた。