「リィナ……すまねぇ……。」

ぎゅっ…

レイドは強くリィナを抱き締めた。

「レイド……よかった……戻ったのね……。」

リィナは涙を拭った。

ゴゴゴゴ……

崩れゆく城を足元に、2人は空に浮いていた。

レイドが黒い翼を羽ばたかせている。

「全部……思い出したんだ。」

「え?」

「産まれてから今日までの記憶が全て綺麗に……。」

レイドは港町の方へ飛んだ。

「あ……!レイド、下にシューとフィルがいるわ!」

リィナは地上を馬で走る2人の姿を見つけた。

「シュー!!フィル!!」

レイドは高度を下げ、地上に降りて行く。

「王女様!?」

シューは空を見上げた。

「レイド様……!?」

「レイドか?」

2人は馬を止めた。

とすっ

レイドは地に足をつけた。

「リィナ様!」

「シュー……私は大丈夫よ。」

リィナはニコッと笑った。

「シュー、フィル。」

「レイド様!記憶が戻られたのですね!」

シューはほっとした顔を見せた。

「あぁ。すまねぇ、みんなに迷惑かけたな……。」

「無事に戻られただけで私は嬉しいです。よくぞご無事で……。」

「おかえり、レイド。」