バリックは暫く黙った。

「俺も賛成♪」

ローズは嬉しそうに答えた。

「……そうだな……“聖人”なんて滅びればいい。俺も賛成だ。」

こうして彼等は“聖人絶滅計画”を立てた。



「……―オレはレイドが羨ましかった。」

星が輝く夜空を見上げ、ロイドは呟いた。

「先代から『“聖人”とは決して交じりあわない』って言われていたのに、レイドは“聖人”の姫と暮らしていた。それで、オレはいつか“聖人”と交じり合えるって思ってた。」

「お前は“聖人”との恋を知っている。今、レイドからそれを奪ったのに変わりないんだぞ?」

「こうしないと、戦力が足りなくなるじゃないか。それに……」

ロイドは一瞬溜めた。

「同じ思いをするのは、目に見えてる。」

ロイドの後ろ姿は、どこか悲しかった。



時は同じくして、リィナも夜空を眺めていた。

「……レイド。」

想うのはレイド。

レイドの記憶から、自分は消されてしまった。

もうあの頃みたいにはなれないのかな……。

「入るぞ。」

部屋にバリックが、トレイに食事を乗せて運んできた。

「王女様、食事を持ってきましたよ。」