バリックは暫く黙った。
「俺も賛成♪」
ローズは嬉しそうに答えた。
「……そうだな……“聖人”なんて滅びればいい。俺も賛成だ。」
こうして彼等は“聖人絶滅計画”を立てた。
†
「……―オレはレイドが羨ましかった。」
星が輝く夜空を見上げ、ロイドは呟いた。
「先代から『“聖人”とは決して交じりあわない』って言われていたのに、レイドは“聖人”の姫と暮らしていた。それで、オレはいつか“聖人”と交じり合えるって思ってた。」
「お前は“聖人”との恋を知っている。今、レイドからそれを奪ったのに変わりないんだぞ?」
「こうしないと、戦力が足りなくなるじゃないか。それに……」
ロイドは一瞬溜めた。
「同じ思いをするのは、目に見えてる。」
ロイドの後ろ姿は、どこか悲しかった。
†
時は同じくして、リィナも夜空を眺めていた。
「……レイド。」
想うのはレイド。
レイドの記憶から、自分は消されてしまった。
もうあの頃みたいにはなれないのかな……。
「入るぞ。」
部屋にバリックが、トレイに食事を乗せて運んできた。
「王女様、食事を持ってきましたよ。」