ロイドはティアラが指差す家の前に下り立った。

家というより豪邸だ。

この街で1番の金持ちのようだ。

「きゃぁああ!!」

ロイドの姿を見た1人の女が悲鳴を上げた。

「“異人”がティアラお嬢様を誘拐しに……!」

「とんだ勘違いだわ!誘拐などされてない!」

ティアラはロイドの背中にしっかりしがみつきながら言った。

「そうだ!オレはただコイツを送りに来ただけだ!」

すると、ティアラの豪邸の玄関が開き、大きな男が現れた。

「なんだ!?騒がしい!」

「お父様!」

ティアラの父親らしい。

「ティアラか!?なんて言うことだ!ティアラが“異人”の背中に……!」

父親は激しく動揺した。

「貴様!ティアラを拐おうとしたのか!?」

「バカ言うな!オレはティアラを家に送りに来ただけだよ!」

「そうですの!お父様、アタシが彼に頼んだのです!」

ロイドの背後からティアラは誤解を解くため、必死に叫んだ。

「ティアラ……父の教えが悪かった。お前は“異人”をよく知らないようだ。だから、こんな奴に……。」