キィ…

ゆっくり扉を開けた。

城下町は“異人”の攻撃を受け、民家は半壊、火事、そして犠牲者が住民に騎士に出た。

城も所々、壊された。

しかし、この祭壇の間だけはそのことを何も知らないで、いつも通り綺麗に輝いていた。

一室の中心に描かれた魔法陣が青白く光り、そこに人影があった。

「リィナ姫!!」

大臣たちが声を揃え名前を叫ぶ。

そこに居た人影はリィナ姫であった。

「……ヴァィ大臣さま。」

少女は血まみれの少年を抱き抱えて座っていた。

「助けて…。」

少女の長い金髪を、少年の黒髪が引きたてていた。



リィナ王女は空を見ている。

青く雲一つない天空をただ見つめていた。

「つまんないの。」

窓から身を乗り出し、短い金髪を風になびかせている。

「リィナ王女、ヴァィでございます。部屋にあげてもらってもよろしいでしょうか?」

「そんな堅苦しい言葉なんて並べないで、気軽に入りなさい。」

「はっ。失礼します。」

リィナの部屋に大臣が静かに入ってきた。

「何のご用?」

「近々行われる騎士試験の話をしたく、伺いました。」