「あ〜あ、服がずぶ濡れだな。」

「ほんと……はっ……はくちゅんっ!」

全身ずぶ濡れになった2人は、身を丸めて小さくなっていた。

「しゃあねぇ。暖でもとるか。」

ロイドは立ち上がり、足元に魔法陣を浮かばせた。

スー…

魔法陣は足元から離れ、地面に浮かぶ。

「燃え上がれ。」

ボッ!

魔法陣から炎が燃えた。

「わぁ!すごいっ!」

ティアラは目を輝かせた。

「さぁ服を乾かしな。」

「ありがとう、ロイド。」

ティアラは手のひらをかざした。

「あったかい……。ロイドの魔法はすごいね。」

「ん?でも、オレはお前の魔法の方がすげぇと思うけどな。」

「え?ほんと?」

「まぁ魔力の無さは尊敬できねぇけどな。」

「……もうっ!」

ティアラは拗ねて、ほっぺたを膨らました。

「ティアラ?お前帰らなくて大丈夫なのか?」

「あ……もうそんな時間?」

空はオレンジに染まっていた。

「あ……!本当だわ!アタシ、帰らなくちゃお父様に叱られるわ!」

「わかった、送ってやるよ。」

服も乾かないうちにティアラを背中に乗せ、飛び立った。