黒騎士-ブラックナイト-


ロイドは彼女を湖の近くに下ろした。

彼女は目を輝かして水面に写る自分と、にらめっこした。

「死んだ兄が、よく連れてきてくれたの。ここは、アタシと兄の思い出の場所よ。」

「そうなのか。」

ロイドは隣に座った。

「兄が死んでから、アタシは外に出ることは、あの花畑までしか許されなかったから、ここには来れなかったの。」

街から3キロは離れている。

彼女の魔力では、ここまで来ることは不可能だった。

「気持ちいい♪」

彼女は湖に、手を伸ばし水を触った。

「ほら、アナタも水に触れてみて?」

ロイドは黒い靴を脱ぎ、足を水に浸けた。

ひんやりして、水が柔らかくて気持ちよかった。

「確かに、綺麗でいい場所だ。これだけ綺麗な水なら飲めるだろうな。」

ロイドは手のひらで水をすくい、一口飲んだ。

ゴクッ…

「うん、美味い!」

「アタシも飲んでみよう♪」

体を丸め、水面に近寄った。

ズリッ…

「おい!」

「あぁ!」

バシャンッッ!!

彼女は湖に落ちてしまった。

「ったく!足が動けねぇなら泳ぐことだって……!」

ザバッ!

ロイドは湖に飛び込んだ。