彼女は自慢気に話した。

すぐさま馬車を消した。

「召喚術か……初めて見たな。」

「そうなの?」

「あぁ。オレたちはまた違う魔法を使うから。」

「黒い羽根も魔法なの?」

彼女はロイドの羽根を触りながら尋ねた。

「これは生えてるんだ。魔法じゃねぇよ。」

「すごーい!天使みたい!」

この時、ロイドは初めて“天使”みたいだと言われた。

これを見て、いつも“悪魔”と呼ばれるのに……。

「いいなぁ。アタシも飛べたら、足なんて動かなくたっていいのに。」

彼女は花を摘み、匂いを嗅いだ。

「病気なのか?」

「産まれた時から動かないの。だから、アタシには歩く感覚なんてないの。」

彼女は足をさすった。

「触られる感覚もないの。」

「でも、ほら、召喚術でああやって乗り物を出したら……。」

「魔力を消費しちゃうじゃない。」

「じゃあ……さっき召喚して大丈夫だったのか?」

その言葉に彼女は目と口を大きく開けた。

「……あ!」

「え?」

「考えなしで出しちゃった……。帰りの魔力、なくなっちゃった……。」