彼女はキョトンとした。

「人間の肉を食べて生きてるんじゃ……?」

「バカか!気持ち悪い想像するな!オレたちは“聖人”と同じもの食ってるよ!」

数秒間、沈黙があった。

先にその沈黙を破ったのは彼女だった。

「ぷっ……!あははっ!」

彼女は腹を抱えて笑った。

「な、なんだよ!?」

「ごめんなさい。父から聞かされた話と全く違っていたものだから、つい。」

笑いすぎて涙が浮かんでいた。

それを彼女は手で拭う。

「ったく!とんでもない親父だな。」

「ごめんなさい。」

ロイドはため息を交えて微かに笑った。

「近くに街か村でもあるのか?」

「えぇ。ここから1キロメートル先に。」

「お前、ここまでどうやって来たんだ?」

両足が不自由な彼女が、自力でここまで来たとは思えない。

「アタシ、召喚術師なの。だから、こうやってね……」

そう言うと宙に円を指で描いた。

青い線が宙に描かれ、彼女は魔法陣を完成させた。

「はいっ!」

彼女の掛け声で、魔法陣が光った。

すると、馬車が出現した。

「す……すげぇ。これに乗って来てるわけか……。」

「そうよ♪」