倒れたシューの体の周りには、黒い羽根が散らばっている。

レイドの背中に黒い大きな翼が生えていた。

「レイド……!!」

「レイ……ド様…!」

シューはその場から起き上がれず、ただ、はいつくばってレイドを見つめた。

「リィナ王女、取り引きをしよう。」

ロイドはまた笑った。

「取り引き……ですって?」

「そうさ。今、城下町にはバリックとローズ、そして、王女様の知らないオルディンていう奴がいる。今は攻撃をやめているが、次に奴等が暴れだせば、城下町は消え去るだろう。」

リィナはまっすぐにロイドの目を見た。

「そんなこと……!!」

「だが、この城をオレたちに手渡せば、国民と騎士、貴様の命は助けてやる。なぁ?悪い話じゃないだろ?」

ロイドは手を広げ、眉をしかめてリィナを見つめた。

スクッ……

リィナは立ち上がり、すぐに答えた。

「いいわ。その話にのりましょう。」

「王女様!」

「何をおっしゃいますか!」

「そんなこと許されませんぞ!」

「私は!!!」

リィナは怒鳴った。

騎士たちは黙った。

「私は国民の命、騎士たちの命を守りたい!別に、力や富み、名誉を守りたいわけじゃない!」