「バリック…?」

レイドには聞き覚えない名前だった。

しかし、彼は自分と同じ褐色の肌に黒髪だった。

しかもアイツはオレを知っている。

なぜ?なんでオレを知っているんだ?

『早く帰ってこいよな!』

『アイツが待ってるぜ!』

なんなんだ!

バリックはオレの何を知っているんだ!

オレの何なんだ!

レイドは自分と葛藤した。

「レイド様!怪我はありませんか!?」

シューが駆け寄った。

「あ、あぁ…。大丈夫だ。」

頭を抱えていた手を下ろした。

「そうだ、リィナ!王女様は無事か!?」

シューの脇をすり抜けて、リィナの元へ駆けつけた。

リィナは城の建物に入ってすぐのロビーで待っていた。

「リィナ!無事か!?」

「えぇ、大丈夫よ。レイドは大丈夫?」

リィナは城へ逃げる前とまったく変わらず、綺麗な容姿のままだ。

「あぁ、みんな無事だ。」

「よかった…。詳しくは試験が終わってから聞くわ。」

「わかった。じゃあ戻ろうか。フゥリ、ありがとうな。」

「私は何もしておりませんわ。」

3人で城を出た。