ヴァィ大臣は焦りを隠せない。
「そんな……8年前と同じような状況に……!!」
リィナは8年前の“異人襲撃”を思い出していた。
父が殺されたあの日が、戻ってきてしまっている。
「城下町で目撃された“異人”の数は3人です。1人は騎士試験の時に現れた短髪。1人は女神像を破壊した男。1人は、身に覚えのない長髪の男でした!」
「レイドは!?」
「今はまだ確認しておりません!」
「ロイドもか!?」
「はい!」
王座の間に緊張が走る。
流れる汗が重い。
リィナの頭には、祭壇の間に描かれた魔法陣のことがあった。
「やはり……あの魔力を求めて……。」
次の瞬間―。
「ぐあぁぁあっ!!」
「!?」
「まさか!!」
王座の間の扉の向こうから、騎士のうめき声が聞こえた。
バンッッッ!!!
そして、勢いよく扉が開かれた。
「邪魔するぜ。」
ニヤッ……
「レイド様!?」
「違うわ!ロイドの方よ!」
リィナにはすぐにわかった。
「さすが、王女様。正解だ。」
顔に返り血をつけたロイドが現れた。