「そんな時にこんな話をしたら、リィナちゃんには辛いかも知れないけど、話しておくわ。」

ネルティは眼鏡をかけ直した。

「耳に入れておきたい事、ですか?」

「えぇ。」

イルムは世界地図を取り出した。

「ここが僕たちの住む国、アルベルトです。」

イルムは細い指で地図の小さな島国を指した。

「そして、ここがルーゼン。」

アルベルトから西に指はたどり、少し大きな国についた。

「リヴェンと合併されたので、地図上、リヴェンの名前はなくなります。」

すると、地図にかかれたリヴェンの国境わ示す線と、リヴェンの文字が消えた。

「そして、ここ。」

ネルティはアルベルトより東の小さな島国を指した。

「ここはパロ。この国が、地図から消えたわ。」

「!!」

「なんだと!?」

地図のパロは消えた。

「半月前に、“異人”に襲われ壊滅したわ。」

「“異人”!?」

「そんな……!」

リィナは絶望の淵に立たされた気分だった。

「彼らの狙いは何なのかはわからない。ただ、ルーゼンは一度襲われてる。気をつけて。」

ネルティはまっすぐに、リィナを見つめた。