シューは長時間、魔法を封じ込めたはずだった。
魔法騎士たちは、意気消沈した。
自分たちの魔法は歯が立たない。
そう感じた。
「はっ!お前みたいな弱い魔法が、オレの魔力を封じ込められるかよ。精々30秒だったな。くはははっ!」
男は大笑いした。
「お前、何者だ?」
レイドが問う。
「寂しいこと言うじゃねぇか、レイド。」
短い黒髪が少しだけ風になびく。
対して、レイドの長い黒髪は大きくなびいた。
「なぜ俺の名を知っている?」
「いずれわかるさ。早く、帰ってこいよな!」
男の背中を黒い光が包んだ。
バサッ!
「な!!」
「なんということだ!」
全員が驚いた。
それもそのはず。
男の背中から黒い翼が生えたのだ。
ブワッ
男の体が宙に浮く。
「俺の名は、バリック。貴様等の王に伝えろ。“いつか我々がこの国を乗っ取る”ってな!」
レイドたちを見下しながらバリックは言い続ける。
「レイド、アイツが待ってるぜ。」
そう言い残し、彼は空に飛んで行った。

