レイドが城を去り、1ヶ月が過ぎた。

リィナは毎朝レイドの部屋を覗いては、ため息を溢す繰り返しだった。

しかし、以前のようにただ呆然とし、人と交わりを断つような真似はしなかった。

今まで通り、国のために頭を抱え悩んだり、国民に笑顔を見せていた。

ルーゼン・ウルク王国の母としての務めをこなす。

そんな彼女の姿に、シューたち王国騎士も、フゥリたちも心の底から安心した。

「リィナ様、便りが届いております。」

「手紙……?」

スーハが一枚の便箋をリィナに手渡した。

「貿易を交わしております、島国のアルベルト共和国の頭領、ネルティ様からです。」

「ネルティ様ですか?」

ビリ…

リィナはゆっくり封を切り、手紙を取り出した。

「…………。」

リィナはじっくりと手紙を読む。

「ふぅっ……。」

読み終わったのか、リィナはため息をついた。

「用件は?」

シューが尋ねた。

「一度会って話がしたいって。2日後、港町に着くらしいわ。」

リィナは丁寧に手紙を元の封に治した。

「では、2日後に対談の準備を。」

「頼むわ。」