「闇系魔法には“記憶操作”の魔法がある。オルディンはそれを習得した、世界でただ一人の魔術師だ。」

ロイドが補足する。

シャッ……

オルディンは剣を抜いた。

「…………闇よ、罪人を捕らえよ。」

ズワッッ!!!!

剣から黒い気体が生じ、風と共にレイドを包んだ。

「くそぉっ……!!」

レイドは魔法陣を発動させようと瞳を赤く染めた。

「!!?」

しかし、魔法陣は発動しない。

「この闇は、捕らえた人間の魔力を封じる。お前は、何もできない。」

「は……放せ!お願いだ…!!消さないでくれぇえ!!!!」

レイドは必死に叫んだ。

だが、オルディンにはその叫びはただの言葉でしかなく、聞く耳を持たない。

「…………。」

ロイドは闇の中で苦しむレイドの姿を思い描きながら、背を向けた。

「罪人の記憶を消滅せよ……!!」

ドオォォォッッ!!!!

レイドを包む闇が、大きな音をたてる。

それは、何かが床に叩きつけられるような音だった。

「リィナァァァアアア!!!!!!」

レイドはリィナの名前を叫んだ。