レイドが囚われていた洞窟から、何十メールも上った。

そして、大きな部屋にたどり着き、そこで下ろされた。

「よいしょっと!」

「ありがとうな。」

そこは、何もないただの部屋だった。

灯された何本のろうそくが、やっとの思いで部屋を明るくさせていた。

「ここは……?」

「…………。」

バリックは何も答えず、ただ腕を組んで立っている。

「ご苦労様。」

部屋の奥からロイドの声がした。

「今日は新しいスタートの日だ。」

声は近づき、ロイドが姿を現した。

彼の後ろにはオルディンもいた。

「なっ……!?」

「始めるのかぁ?」

ビュンッ

ローズが遅れて部屋に入ってきた。

「何の真似だ!?」

「この前話しただろ?お前の記憶を消す日が来たんだ。」

まさか……!?こんなにも早く!?

レイドは汗が流れる感覚を覚えた。

「嫌だ……!」

「すまねぇ……でも、これがお前の幸せだ。」

バリックは重い口を開いた。

「バリック……。」

「オルディン、始めろ。」

ロイドの指示でオルディンは前に出た。

部屋の中央で立ち尽くすレイドに近づく。