「……ご飯、食ったらな。」

ロイドはそれだけ言って部屋を出た。

バリックは白い歯を見せて笑った。

「よかったなっ。」

「すまねぇな。」

レイドも笑みがこぼれた。

毎日、こうして自分と同じ容姿の人間と交流を交わすうちに、彼らとの隔たりが薄らいだ気がした。

レイド自身、なんだか懐かしい気分にもなった。

「とっとと食っちまいな。」

「あぁ。」

レイドはゆっくりフォークを手にした。



「風が今日も気持ちいいな…。」

オルディンは長い黒髪を風任せになびかせていた。

彼は、海岸に立ち海を眺めた。

「本当に……いいんだな?」

オルディンは誰かに問うた。

「あぁ。今日実行する。」

それに答えたのは、オルディンの背後に立っているロイドだった。

「“聖人”との交わった記憶を消す……。」

「そうだ。レイドを完全に“異人”として目覚めさせて、計画を実行する。」

「お前が一番レイドの気持ちを知っているんじゃないか?」

オルディンの言葉に、ロイドは少し、動揺した。

「お前にだって……。」

「それ以上喋ったら殺すぞ!!」