彼は殺気を捉えた。
「リィナ、今すぐ城へ逃げろ。」
「え!?」
「仕掛けてくる!」
リィナはフゥリを連れて、城へ駆け出した。
レイドは勢いよく走り出した。
「どけ!道を開けろ!」
受験者たちの中を掻き分け、広場の中心に躍り出た。
「おい、そこのお前。バンダナしたお前、何をしようとしてる?」
レイドが話しかけた騎士は、赤いバンダナに黒い服を着ていた。
「……。」
「答えろ!その魔法も解け!」
男はニヤリと笑った。
「さすが、お前のその力は素晴らしいなぁ。」
彼の瞳の色が黄色から赤色に変わった。
男の足元に星を示した記号の魔法陣が浮かんだ。
レイドの魔法陣とよく似ていた。
黒い光が男を包んだ。
「うわぁ!」
「な、なんだ!?」
レイドと男の周りの者が、後退りして離れた。
広場の中心を二人の男が陣取った。
光が消え、再び姿を現した。
再び見せた姿に、周囲の皆が驚愕した。
黒髪に褐色の肌。
レイドと同じような容姿を現したのだ。
黒の服を着、黒の手袋をしていて、肩には十字架に亀裂を入れたいれずみがあった。

