「ばか……レイドのばかぁ!!」

リィナは声をあげて泣きわめいた。

「何かっこつけてんの……!!ばか!ばかばかばか!!!」

フゥリは優しくリィナの肩に手をかけた。

同時にその文字を読んだ。

「レイド様……。」

「うわぁぁぁぁああん!!!」

リィナはしばらくその場から離れず、泣き続けた。



夜は明け、新しい1日を迎えた。

城はいつもの朝とは違い、誰もいないかのように静まり返っていた。

リィナは、いつもレイドがいる木を一晩中眺め続けた。

そこにレイドがいるかも知れないから。

しかし、そんな期待は裏切られ、いつになっても彼の姿は見れなかった。

「部屋……。」

リィナはそう呟き、部屋を出た。

そして、隣のレイドの部屋に行った。

「レイド!!」

彼はいなかった。

部屋は散らかったままだった。

魔法の書物が開きっぱなしで置かれ、図書館で行方不明となっていた書物も何冊かあった。

「どうして……。」

リィナはレイドのベッドに腰かけた。

「どうしてこんな事に……!!」

彼の枕を強く抱いた。

少しだけ、レイドの匂いがする。