「わかりません……。ここに来た時、アタシは動揺しました。あの方が助けを求めてきたのに。アタシは、あなただけを助けるつもりでした。」

レイドはその言葉が胸に刺さった。

「しかし……あの方が自分より他人を心配、優先した姿を見たのは初めてでした。それに何かしら心を動かされたみたいで、無意識に治療をしていました。」

「アイツはいい方に変わったんだ!だから……もう今までのことは水に流して……」

「アンタに命をやるから、ルーゼンの王女を助けてくれないか?!」

フィルの声が部屋に響いた。

彼は目を覚まし、レイドの部屋を訪ねた。

会話は筒抜けで、フィルはアクリスが自分をどう思っているか、全て聞いた。

「ロッツォは今は俺の元を離れ、リヴェン地方の総指揮の騎士として働いてる。だから、俺とロッツォはもう王族と騎士の地位はないし、ロッツォが今は地位が上だ。」

「え……?」

アクリスはフィルの王権剥奪は聞いていたが、それからのロッツォの身については知らなかった。

「それをしたのは、ルーゼンの王女なんだ。」