右腕を無くし、左腕であなたを抱きながら馬に乗って。

もう1頭馬を連れてきました。

息を切らしながらあの方はおっしゃいました。

『頼む……俺はいいから…コイツを助けてやってくれ―』

そのまま気を失われました。



「―フィル王子は自分よりもレイド様を優先されました。右腕を失った痛みや悲しみはあるでしょうに……。」

「……オレがいけねぇんだ。オレが弱いから……。」

「これから強くなられたらよいでしょう。今は魔力を回復なさらないと。」

レイドは薬を一口飲んだ。

すごく苦くて今にも戻しそうになったが、流し込んだ。

「フィルの腕は……」

「魔法で身体を再生することは出来ません。ただ、痛みを押さえ、傷を塞ぐだけ……。」

「…………。」

レイドは自分を責め、罪悪感が残った。

「それにしても、人喰いの化け物と戦ってまで急いで来られたのは何故です?」

「!!!」

レイドは本来の目的を思い出した。

「リィナの身体に毒があるんだ!あと1日もすれば死んじまう!アクリス、力を貸してくれ!」

「なんていうこと!!リィナ王女様が…?!」