タイムリミット約34時間に迫っている。

レイドは目を覚ました。

見慣れない景色が広がった。

「―ここは?」

少しだけ体が重い。

額に濡らされたタオルが置かれている。

レイドはそれを手に取り、起き上がった。

「目が覚めましたか?」

女の声がした。

ドアの奥から、水色の長い髪をした黒いドレスの女が現れた。

「魔力が回復する薬を持ってきました。」

「あなたがオレを治療してくれたのか?」

彼女は頷いた。

「アタシはアクリスと言う者です。見たところあなたは“異人”でありますね?」

「……あぁ。」

「名は?」

「レイド。レイド・エルスだ。ルーゼン・ウルクの王女、リィナの側近騎士だ。」

アクリスは驚いた。

「そんなことより、もう1人いなかったか!?」

「フィル王子ですね?隣の部屋でお休みになられています。」

「ありがとう……。助かった。」

「お礼は王子にしてください。」

「え?」

レイドは意味をすぐに理解出来なかった。

「ここまであなたを連れてきたのは、あの方ですわ。」



―5時間前

フィル王子は、ここを訪ねて来ました。

明け方頃でしょうか。