くそっっ……!時間がねぇのに……!!!

レイドも焦った。

しかし、それがあだとなり集中力が切れる。

「……!!」

化け物がレイドの存在を思い出し、彼に目を向けた。

「しまった!!」

フィルはレイドに駆け寄る。

化け物は彼よりも前を走る。

ドドドドッッ!!!

「なっ!?」

レイドはそれに気付き、結界を張ろうとする。

だめだ!ここで放ったら……

せっかく注いだ魔力を無駄には出来なかった。

ここでやめてしまえば、もう魔力がなくなる。

「レイドォォォオオ!!!」

フィルは全力で走った。

鋭い牙が、レイドに襲いかかる。

彼を喰おうとした。

グルアァァァァアアア!!!!!

リィナ……!!!

バキッ!!!

ブシュゥゥッッッ!!!

―レイドは痛みを感じなかった。

恐る恐る、目を開くと、怪我は無く、ただ、血にまみれていた。

「……ハァ…ハァ……」

「!!!?」

目の前に、右腕を無くし血を流すフィルがよろめいて立っていた。

「フィルッッッッ!!!!!!」

ドサッ

フィルは倒れた。