フィルは、ヤマタノオロチのことを言っている。

「自分で制御できねぇんだ……。」

「やるだけやってみろ!俺が時間を稼いでやる。」

これに賭けてみるしかなかった。

「……頼む。」

「了解!側近騎士様!!!」

フィルはニッと笑って走り出した。

レイドはありったけ魔力を注ぐ。

瞳が深々と赤くなる。

「お前の相手は俺がしてやる!」

グルァァァアアア!!!

ブンッッ!!

ブンッッ!!

フィルは、化け物の攻撃をかわしながら走り回った。

化け物はフィルに集中し、レイドを視野に入れなかった。

その間に、レイドはヤマタノオロチを発動させるため、ひたすら魔力を注ぐ。

しかし、手応えを感じない。

「ちきしょう……!!どうやったら……」

「真空波!!!」

ズバズバズバッッッッ!!!

グルアァァァァアアアアアアア!!!!!!

徐々にダメージを与えるも、化け物は弱まらない。

フィルの体力と魔力が削られていく。

レイド……!!!まだか!?

フィルは焦りだした。

しかし、レイドは一向にあの巨大な魔力をつかめない。