言っている間にも、ポチは首も切り裂いた。おびただしい量の血が床に落ちる。
「シブリールさん!」
治そうとかけよろうとしたのに、シブリールさんまでもが大丈夫だよと言ってきた。
「架け橋を作るには数多の世界に不運を撒き散らすことができる、悪魔の血が一番最適なんだよ」
「魔術の基本ですわ。ご存知なくって?」
小馬鹿にしたような態度にむっとしてしまうが、シンシアさんは構わず。
【構築致しましょう】
手を広げて、詠唱を始めた。
ポチから流れていた血が重力に逆らう。
意思があるように動いたのだ。
私たちの周りをぐるぐるループする。
【構築、構成、作成。幻想の中に形を与えます。決して崩れぬ、頑強な架け橋よ。行き場を求める羊たちを渡らせましょうか】


