ちゆまど―世界は全て君のために―



宝石みたいな人だなあと思っていれば、ポチの唇前にシンシアさんは手を出した。


「ポチ」


「かしこまりました、マスター」


手を取るポチは舌を出した。


あとは飴でも舐めるかのごとく。


くちゅ、ちゅっ。


指先から手の甲まで隅々をその舌で触ってみせた。


「……」


言おう、ドン引きした。


「ふふっ、上手よ、ポチ。もうよろしくってよ」


ポチの舌が引っ込む。シンシアさんが取り出したハンカチを取り、自分が濡らした手を綺麗に拭き始めた。


「どちらが欲の塊だか」


大人のプレイとやつを見て、ドキドキしてしまう。


「ところで、何のご用でしょうか。私もあまり暇ではないですの」


「異世界へ転送をしてもらいたい」