はあとため息をつき、女性を見る。
「あの……。ユリウス・ステリウスです。ユーリと呼んでください」
「まあまあ、話す前にまず自己紹介。礼儀正しい子だこと。私の名はシンシア・アステローブよ。こちらはポチ」
「ぽ、ポチ?」
男性が私に向かって深々と頭を下げる。
SMプレイというやつなのか。ポチというシンシアさんは至って真面目な顔だった。男性だって嫌がっている素振りはない。
「相変わらず、痛いことをしているな、お前は。会わない内に、飽きてその悪魔を手放していると思ったんだがな」
「面白いことをおっしゃりますのね。飽きる?そんなことありませんわ。ポチは私が呼んだ召還物の中で、一番従順な犬なのですからね」
鎖を引くシンシアさん。ポチの顔があがった。
女性かと思うほど、澄んだ瞳を持つ人だった。


