ちゆまど―世界は全て君のために―



「そんな……。だって、命を粗末にはしたくないって、命は重いんだって……!」


「ああ、あれね。粗末になんかしないよー。殺した者はきちんと残さずに食べるんだから」


「な、ん……」


「命は重いとも知っている。けどね、生き物は死にやすいんだ。人間であれ、獣であれ。だから、“重い”の。大切にしなきゃいけないんだ、壊れやすいから」


「壊れやすいと分かっておきながら、なんで壊すんですか!」


「なんでって。ふっ、笑っちゃうなあ。こいつらが俺を襲おうとしたからだよ」


こいつらの部分で、シュヴァルツさんは手頃な死体を持った。


「襲いにこなきゃ、俺だって何もしないよ。壊さない。命は重いから。でもね、それは何も“他人”だけじゃない」