ちゆまど―世界は全て君のために―



血祭りだった。

人間の中にはこれだけの血液があることを改めて認識する。


「ユリウス、帰ろうか。あまり見るものじゃない」


声をかけられはっとした。


「……あ」


声がやっと出た。


恐怖から足がすくんでいたのも、今ならなんとか動ける。


「ユリウス、なにを……」


「……」


シブリールさんを無視して、シュヴァルツさんに近づく。


私に気付いたシュヴァルツさんは。


「あはっ、ありがとう。君たちのおかげで」


カラスたちが肉を喰う暗黒界で。