ちゆまど―世界は全て君のために―



「何者だ!」


やんややんやと騎士団集合。見つかってしまった。私のせいで。


「……、て、てへ?」


「可愛いから許す!」


「ユーリちゃんに甘すぎでしょ、シィちゃん!」


「団長っ、例の吸血鬼です!」


茂みに隠れる必要もなくなったので、三人とも立ち上がった。


皆、剣を向けて、中には紫のローブに身を包んだ魔術師らしき人もいた。


「見つかったなら仕方がない、かあ。いくよ、シィちゃん」


瞬間、カラスが現れた。


シュヴァルツさんだ。カラスと見紛うほどの黒い翼を背からはやした。


ばさりと一羽ばたきをして、ひらりと落ちた羽をシュヴァルツさんが取る。


どんな魔術か、ただの羽、黒い剣に変わった。


長方形で変わった形だった。ノコギリみたい。